花が好き
今年の冬は寒さが厳しいうえ、3月になっても春らしい暖かな日が少なく花の開花が遅れました。暖かな春の日差しがこれほど待ち遠しかった年は記憶にありません。それでもこのところ、もう枯れてしまったと見えるような枝や根から新しい芽が吹き始め、まるで遅れを取り戻すかのようです。
教会の看板の上にツリー型に仕立てている木はモッコウ薔薇です。友達に頂いた枝を挿してそれが根付いたものです。以前イタリアの小さな漁村を通りがかった時、建物に添って仕立ててある植え込みにヒントを得てツリー型に仕立てました。冬でも緑色を保っているのでクリスマスにはクリスマスツリーに変身です。
教会前の通りは実に様々な人たちが行き来しています。春、このモッコウ薔薇をたくさんの人たちが楽しんでいることを最近知りました。「毎年楽しみにしています」「写真を撮りに来るのよ」「良い香がしますね」「枝を分けてください」「バスの窓から見ていますよ」「前を通るのが楽しみ」と見ず知らずの方々から声をかけられ、会話が始まります。花が教会外の人たちとの交流の場を作っているのです。
ヨーロッパでは窓辺に滝のように咲き乱れるアイビー・ゼラニュームや ペチュニアをよく見かけます。一面ピンクとか紫だったりして壮観です。 憧れますが私はあの花もこの花も、あの色もこの色もと思ってしまい 一種類だけに揃えることが出来ないでいます。特にハーブが好きです。 お料理に良し、お茶に良し、花も可愛いし、 ドライにしてスパイスや香り袋なども作れます。欲張りな私にぴったりの植物です。
聖書の中にたくさんのハーブが出てくるのも楽しいです。イチジク、オリーブ、乳香、没薬、ヒソプ、コリアンダー、シナモン、葱、にんにく、月桂樹、アーモンド、ケーパー、バラ、ナルド、サフラン、ディル(いのんど)、ミント、マスタード、ルー(芸香)アロエ・・・・まだまだたくさんあります。
ハーブを通して様々なことを教えられます。ハーブは人に喜んでもらえるため存在しているかのようです。あまり手をかけなくともたくましく育つ植物。分ければ分けるほど増える植物。良い香りを放つ植物。薬効成分で心身を癒す植物。
最近はアロマテラピー(芳香療法)がブームになっていますが紀元前6世紀に編纂されたといわれる出エジプト記にすでにその香油が登場し香料師までいたとは驚きです。聖書によく登場する乳香や没薬はその香料の材料となる木そのもの自身は香ることが少ないのに、樹皮に傷をつけられ、涙のような分泌液が集められ、それを熱したり火にくべたりされると芳しい香を放つとのこと。同じく他のハーブもこすられたり、たたかれたりして試練? に会うと良い香を放ちます。
今週は受難週、他者のため自らが痛み、他者を生かすため十字架にかかって血を流して下さったイエスキリストの生き方とハーブが重なります。
今月末にはツリー型のモッコウ薔薇も花一杯咲かせ、よい香を放つことでしょう。今年も新たな人との出会いを楽しみにしています。
小枝 黎子 (2012年04月01日 週報より)