どこに

参議院選挙が終わり、参議院でも3分の2が改憲派という結果が出ました。戦後民主主義の申し子のような私にとって、予想された結果ではあったけれど、やはり2~3日は茫然としたような日を過ごしたのでした。しかしやはり一般に言われるように今度の選挙は、改憲が重大な争点であったとはいえ、政権側は全く争点化しなかったという一点が気になります。新聞は争点が隠された選挙と伝えました。自民党に投票した有権者も、憲法改定とは無縁に、単純に首相の言葉を信じて、経済を良くしてくれるからと投票された方も少なくなかったでしょう。

さて現職の国会議員の4割の方々が<日本会議国会議員懇談会>に所属します。そして19閣僚のうち安倍首相をはじめとする15閣僚がこの懇談会のメンバーです。この日本会議はもとはと言えば成長の家出身者を母体にしていましたが、今や神社本庁をはじめとする国家神道的な考え方が運動の本流となっているようです。とくに日本を天皇中心の祭政一致の国として、政教分離には反対します。国民主権は日本にはなじまないものとし、むろん戦後平和主義、人権尊重も否定します。日本会議の考えによれば日本人は大日本帝国を誇りに思うべきであって、戦後日本が第2次大戦中におかした戦争犯罪を謝罪するなど論外の事と断じます。ついでに言うと夫婦別姓反対・女系天皇反対、日本を天皇中心の戦前の価値観への復帰が続きます。

村上正邦氏(生長の家出身で、日本会議の生みの父と言われた人。かつて参議院のドン・天皇とまで言われ、のちに収賄が発覚して、有罪となり議員辞職した)は、最近のインタビューで、彼が理想とするのは明治憲法であると明言しました。衆参両院で改憲派がいずれも三分の二を超えたのですから改憲の提言は可能になったのです。しかし国民の過半は現憲法支持です。今回自民党に投票した人々も日本会議の目指す極右思想に同調して投票したとは到底思えないのです。しかし国会ではこうした極右も含め、改憲派が三分の二を超えたのです。

もう一度日本国民はどういう歴史をかつて日本人は味わったかを思い起こすべきです。戦争末期に沖縄で日本軍人による島民虐殺が頻発したこと。むしろ島民にとってはアメリカ軍が解放軍としての要素すら持っていたこと。満州において精鋭を誇ったはずの関東軍は、ほとんど交戦することもなく、数十万人の日本人を置き去りにしてソ連軍に踏みにじらせ、多くの幼子たちは戦後中国人の女性たちが自分の子として育ててくれたのです。

いまや歴史の事実を否定し、世界の大勢が受け入れるはずもない極右思想を奉じるグループが日本の国会を支配する構図が現れています。今回の都知事選挙に打って出ている元防衛大臣であった女性もそのひとりです。宗教と国家主義が一体化したとき、いざとなれば<神風が吹く>というようなことが不思議に受け入れられて、若者の命が簡単に費消されていって、それに責任を感じるとか、無責任であったとかいうことは全く顧えりみられず、忘れ去ってしまうことがかつてあったことでした。少なくもナチズムの再現などドイツにはあり得ません。しかしここまで顕わに日本ではかつてのアジア侵略の思想が息を吹き返すのでしょうか。日本人の思想はそこまで愚かではありえません。あくまでも現憲法に盛られた平和主義、国民主権、基本的人権は戦後70年の日本人をつくりあげてきたのです。

(2016年07月17日 週報より)

おすすめ