平和の危機

この2週間、週末は雪に見舞われ、雪かきに追われました。雪かきも3時間、4時間となるとセロトニンのせいでしょうか、不思議にやめられなくなります。ついつい止めるタイミングを失うほどでした。しかしそうしている中に<キリスト者平和ネット>から坂田雅裕(元)法制局長官による「政府の憲法9条解釈とは」と題する講演会が、参議院議員会館で行われるとのメールが入り、是非聞かせていただきたいと思い、20日、国会に出かけました。国会周辺はデモ参加の時にはしばしば出かけていますが、参議院会館は私たち夫婦にとって初めての入館経験でした。

会場は報道各社のTVカメラが入り、福島瑞穂さんや名の知れた国会議員たち20数名が加わり、私たち市民150人ほどの参加者で講堂はほぼ満席でした。というのも新聞報道によれば、今国会で政権が集団的自衛権の合法化を図り、つまり国民投票抜きで、憲法9条の無力化を図ると首相が表明していることが伝えられているからです。講演の冒頭、坂田(元)法制局長官は『私は皆さんと違って、憲法9条を厳守しようと考えているわけではありません。憲法も時代に合わせて変えられることはあり得ると考えています。」という言葉に一瞬会場の空気が冷える場面がありましたが、これは法理論上の可能性で、その通りこの人が考えているかどうかはわかないことでした。

さて、坂田さんの講演内容です。
『憲法9条が言わんとする内容は10ヶ国以上の国々の憲法で採択されており、その他150か国において同様な法規が実施されている。国際社会はその多くが平和主義に立っている。ただ9条と、実際に存在する自衛隊をどう理解すべきなのか?

  1. 憲法は9条だけで成り立っているのではない。13条は「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」つまり外国からの武力攻撃を受けた場合、国民の生命、財産を守るには自衛隊が必要になる。ゆえに自衛隊は日本を守る最小限度の自衛力であり、自衛隊の武力行使は限られている。
  2. 一方で現在国際法上戦争は違法とされている。そこで国連憲章では51条に集団的自衛権という概念をねん出し1954年以来すべての戦争は集団的自衛権という形で戦われてきた。しかし日本において自衛隊は<戦力なき軍隊>と規定され、武力行使はできないものと枠づけられてきた。たとえ<国連決議>が行われたとしても自衛隊の直接的軍事行動は法律違反であり、その後国会で認められたPKO法案や周辺事態法もその枠組みの中での -つまり非軍事としての- 性質に定められている。
  3. 現政権は歴代内閣で否定してきた集団的自衛権を解釈変更で、閣議決定しようとしている。選挙に勝てば法解釈は自由ということになれば法律も、裁判所も意味を失う。政権が変わるごとに国の土台が変わるようでは国の安定性は失われてしまうことになる。解釈改憲で自衛隊を海外での軍事行動に出すようなことにしてはならない。現行の中学の教科書では[国民主権・基本的人権・平和主義]が日本国憲法の基本原理と書かれている。これを解釈改憲で変えるとすると日本は法治国家とは言えなくなる。

これを国民の力で阻止すべきである。』(以上が小枝のメモによる要旨です。)

・・・もし以上のことが押し通されるなら、米国の軍事行動に日本の自衛隊が合同する可能性がありえます。ありもしない大量破壊兵器があるとして始めたイラク戦争、あるいはベトナムに本格的に介入したトンキン湾事件 ―いずれも米軍のウソから始まった凄惨な戦争でした。そんな戦争につきあうことは愚の骨頂です。ただ武器製造者たちは今や遅しと待ち構えていることでしょう。

(2014年02月23日 週報より)

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