ある宮司さん

2週ほど前、西八王子で神社の宮司をしておられるOさんという方からうつくしい墨書で「原発ゼロを目指す宗教人シンポジウム」を、原発事故が起こった3月13日に開催したいので宗教人として準備に加わってほしいとの依頼が来たのです。準備はすでに昨年から始まっており、プロテスタント、カトリック、キリスト者平和ネット、仏教関係者、宮司が含まれているということでした。

どうして私に?と思いもしましたが、やはり大教会の牧師さんたちはそれぞれお家の事情で関わる事ができないのだろうと推測しました。それにしても私のイメージの中の神主とは、<神社―天皇制―侵略戦争肯定>という図式が描かれていたのです。ところがこのOさんは言います。「神道は戦前、国策に協力というよりは、共犯者になり戦争を進めてきました。本当に過去を反省するなら、いまこの法案(秘密保護法)に反対することが神職や宮司のやることだと思っています。」
さらにこの方は1938年5月8日、中国・青島郊外の毛子埠(マオズブー)村で夜明けに侵入した日本軍による村民180人の大虐殺事件からの謝罪と和解に力を尽くされているのです。当日、日本軍は機関銃掃射に加え大人、幼児の区別なく銃剣による刺殺、さらに村民を家に閉じ込めたまま焼き殺したとのことです。この出来事から生き残った人々は記念館を建て後世に伝えています。Oさんはここを訪ね、日中友好の働きを進めています。

私の心にあったイメージからすると、目からうろこが落ちた瞬間でした。<原発ゼロを目指す宗教者シンポジウム>準備会に集まったのは、Oさんに加え、お坊さん6名、それに私と、横浜の同盟教団S牧師。集会は3月13日、築地本願寺講堂です。確かここにはパイプオルガンがあるはずです! パネラーは浄土宗、日蓮宗、福音ルーテル教団の内藤信吾さんそして福島の浄土宗の方です。

2月15日の新聞社説によると中部電力が浜岡原発再稼働に動き出したとあります。「ここは南海トラフ巨大地震の想定震源域にあります。いつ起こるかわからない、ですが必ず起こる南海トラフ地震。浜岡原発が直撃を受けると、東名高速、新東名、東海道新幹線がたちまち被爆します。そして福島と違うところは周辺が人口密集地で、避難が不可能だといわれます。福島の比では測れないほどの犠牲者と被爆者が出る。でも再稼働しなければ原発被害はゼロで済む。浜岡原発はそもそも建てるべきではなかった場所にある原発」(社説より)といわれます。

私は孫や子に安全で平和な日本をぜひ残したい。少しでも声を上げたいし、叫びもしたい。このままでは次々に再稼働が実現してゆくでしょう。

(2014年02月16日 週報より)

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