主よ、「はい」と言わせて

主よ、わたしは「はい」というのがこわいのです。あなたはわたしをいったいどこにつれてゆこうとなさるのですか。わたしはびんぼうくじを引くのがこわいのです。わたしは同意書も読まないで捺印するのがこわいのです。一回「はい」と言えば、次から次へと「はい」といわせられるのがこわいのです。まだわたしはあんしんできません。主よ、あなたはわたしを追いかけ、わたしを捕えられました。わたしはあなたの声を聴くまいと、雑音を追い求めましたが一瞬の静けさの中にもあなたは私の耳にすべり込みあなたに会うまいと道を避けて通っていたのにそのまわり道の終わりであなたはわたしを待っておられました。わたしはどこにかくれたらいいのでしょう。どこでもあなたに会うのであなたから姿をくらますことはできないのでしょうか。

主よ、「はい」というのが、何としてもこわいのです。あなたのたなごころに、わたしの手を置くのがこわいのです。あなたがそれを握ったら、離されないからです。あなたの目に、わたしの目をあわせるのがこわいのです。あなたの目を見れば、わたしはひきこまれてしまいますから。あなたの求めをこばむことがこわいのです。それはあなたが嫉妬なさるかただからです。わたしは八方ふさがりになりましたが、それでもかくれます。捕らえられましたが、それでも反抗します。負けたと分かっていても、戦います。しかし主よ、あなたは強く、この世界を自由になさいます。わたしが手を伸ばして、人と物を捕えようとしてもそれは私の前から消え去ってしまいます。主よ、面白くありません、わたしは何も自分の自由になりません。つんだ花は、わたしの手の中でしぼみわたしの笑いは、くちびるをむなしくし、わたしのダンスは、わたしをそわそわさせます。何もかもむなしく、何もかも恐ろしく見えるのです。あなたはわたしのまわりに砂漠をつくられたのでわたしは飢え、渇きました。世界はわたしを満足させません。それなのに主よ、わたしはなおあなたを愛しました。あなたにわたしは、いったいなにをしたというのでしょう。あなたのために働き、あなたにわたしを捧げたのに。大いなる恐るべき神よこれ以上わたしに何を望んでいらっしゃるのですか。

子よ、君のために世界のために私はもっと求める。いままではきみがきみの意志どおりに行動してきたがそういうものはもういらない。きみはわたしの承認と指示を求め君の仕事にわたしを巻き込もうとした。子よ、わからないのか、それでは立場が反対だ。わたしはきみのすることを見てきた、きみの善意も見た。しかし今ではそれ以上のことが欲しいのだ。きみは、きみの仕事をもうあきらめて、君の父なる神の意志を受け入れてくれ。子よ、「はい」と言ってく。私がこの地上にやってきた時マリヤの「はい」が必要であったようにきみの「はい」がいま必要なのだ。きみの仕事を進めるのは、わたしでなければならん。きみの家族の中に生きるのは、わたしでなければならん。きみの町内にいなければならないそんざいはきみではなく、このわたしなのだ。かれらの心に沁み込んだものは、きみの顔ではなく、わたしの顔だ。重んぜられるのは君の言葉ではなく、わたしの言葉なのだ。人の心をかえるのは君の命ではなく、わたしの命なのだ。わたしにすべてを投げだしてくれ、きみのすべてを地上に降りて、君と一緒になるためにきみの「はい」が必要なのだ。この世を救い続けるために君の「はい」が必要なのだ・・・・

— ミシェル・クオスト

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