平和を願って

「平和を実現する人々は幸いである その人たちは神の子と呼ばれる」

マタイ5.9

結婚と同時に由木教会で教会の働きをスタートしてから今年で丁度40年になります。40年前の教会は開拓教会でほとんど会員がいない状態でした。振り返ると子育てなどに追われた時代もあって、あっという間に40年が過ぎたような気がします。感謝な事ばかりが思い返されます。

この歳になって子育て中には出来なかったことが最近出来るようになりました。秘密保護法、原発、集団的自衛権に関するデモ、シンポジューム、平和集会、ボランティアなどに出かけることです。私は最近の日本の政治状況に強い危機感を覚えています。居ても立っても居られない様な危機感です。特定秘密保護法案が強行可決。原発再稼働・新設の動き。集団的自衛権行使のための憲法解釈改憲の動き。国の教科書への介入・・・どれをとっても恐ろしい動きです。

これらの事は信仰生活とあまり関係ないと思われるかもしれません。昨年末、現代の治安維持法と言われる特定秘密保護法案が強行採決されてしまいました。私の母は1942年この治安維持法で逮捕され10ヵ月留置されました。コンクリートの床、ゴザ1枚の広島刑務所7号室。それは新婚10日目28歳の時でした。結婚前広島で牧師をしていた母は逮捕され「キリストが天皇より上であると思うのは不敬罪にあたる」と言われたそうです。母はまさか善良な市民である自分がこの治安維持法違反で逮捕されるとは思ってもみなかった事でしょう。

さて、この特定秘密保護法案によって信教の自由、言論の自由、思想の自由が奪われようとしています。このことのために特定秘密法に反対し、廃案にするため「特定秘密保護法に反対する牧師の会」も結成されました。言論の自由もすでに奪われつつあります。原発についても昨年末、ケリーさんと通り抜けた福島第一原発の周辺は廃墟と化し、人間の住めるところではなくなったままでした。アンダーコントロールどころか事実は報道されず隠され、メディアも上からの圧力で伝えようとしません。友人のNHKのアナウンサーも上からの圧力で報道出来ないことも多くなったと嘆いていました。

私は最近ドイツのルター派の牧師で反ナチ運動の指導者ニーメラー牧師の言葉をたびたび思い返しています。彼はナチスの時代には強制収容所に送られて九死に一生を得た人です

ナチが共産主義者を襲ったとき,自分はやや不安になった.
けれども結局自分は共産主義者ではなかったので何もしなかった.
それからナチは社会主義者を攻撃した.自分の不安はやや増大した.
けれども依然として自分は社会主義者ではなかった.
そこでやはり何もしなかった.それから学校が,新聞が,ユダヤ教徒が,
というふうにつぎつぎと攻撃の手が加わり,
そのたびに自分の不安は増したが,なおも何事も行わなかった.
さてそれからナチは教会を攻撃した.私は教会の人間であった.そこで自分は何事かをした.
しかし,そのときにはすでに手遅れであった.

マルティン=ニーメラー(神学者)の告白

今日は聖霊降臨日、聖霊は鳩に象徴されますが、鳩は平和をも象徴します。今の日本の状況を思うとき平和のため、信仰の自由が奪われないよう教会は祈り、行動を起こすよう促されているように思えます。

小枝 黎子 (2014年06月08日 週報より)

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