地球温暖化
このところ12月とは到底思えないほどの温かさです。一昨日わたしは半袖のシャツ姿で、戸外で落ち葉のかたつけを行いました。それでも暑くて大汗をかきました。昨日は室内で日曜日の準備をしていますが、暖房はなしです。ランニングシャツの上にジャケット1枚で十分です。これほど温かい12月は初めてです。今パリではCOP21地球温暖化防止会議が大詰めを迎えていると伝えられています。産業革命以来地球の温度上昇は0.8度上がったといわれています。岩波の雑誌「世界」にナオミ・クラインが<“今そこにある明白な”危機>というタイトルで書いている文章は改めていま地球環境がいかに危機的な状況にあるかを描き出しています。ナオミ・クラインは書きます…
2012年にグリーンランドで先例のない氷柱の融解が起こり、世界銀行の2012年の報告では「地球の気温上昇が2℃に近づき、それを越えれば、臨界点を超える非直線的な要素を生じさせる恐れがある。一例は西南極氷床の崩壊でありこれはさらに急激な海面上昇をもたらす。あるいは、アマゾン流域の広範囲にわたる立ち枯れ病であり、これは生態系、河川、農業、エネルギー生産、そして人間の生活に甚大な影響を及ぼす。これが21世紀の地球温暖化に加わることで,地球全体に影響が及ぶことは必至である。」つまり、ひとたび気温上昇がある一点を超えるのを許せば、水銀柱の上昇を制御することは不可能になってしまうのだ。
さらに世界銀行報告書は次のように語ります。
このまま行くと[世紀の終わりまでに]世界の温度は今より4℃上昇するだろう。そうなれば激烈な熱波が襲い、世界の食糧備蓄は減少し、生態系や生物多様性は損なわれ、海面上昇によって生命が損なわれる。
そして4℃の気温上昇に適応できる 保証はないとも警告している。
忘れないでいただきたいのは、これは気温上昇が4℃である程度安定し、臨界点を越えない(そうなれば天井知らずの急激な気温上昇が起こる)という、楽観的シナリオだということだ。そしてそのシナリオは、だれの予測よりも早く始まっているかもしれない。2014年5月、米航空宇宙局(NASA)とカルフォルニア大学アーバイン校の科学者は、西南極でほぼフランスの面積に匹敵する大きさの氷柱が融解し、もはや「制止不可能と思われる」と発表した。今後南極氷柱全体が崩壊する恐れがあり、そうなると「3-5メートルの海面上昇が起こる。もしそうなれば、世界中で数百万人が住む場所を失う。」と研究の筆頭著者エリック・リグノットは警告している。もっとも氷柱崩壊には数百年の時間がかかる可能性があり、CO2排出を削減して進行を遅らせ最悪の事態を防ぐための時間はまだ残されている。
だが何より恐ろしいのは、多くの主流研究者が、現在の排出スペースのままで行けば、4℃を上回る気温上昇が起こるとみていることだ。普段は抑制のきいた国際エネルギー機関(IEA)が2011年に出した報告書は、温暖化は6℃に向かって進んでいると予測している。IEAのチーフエコノミストファティフ・ビロル氏は「これがすべての人に壊滅的な影響を及ぼすことは小学生にでもわかることだ。」
あらためてこのままでは今世紀末に、2℃どころか、4℃を突破し、6℃となれば台風の巨大化は避けられませんし、東京では荒川の氾濫、東京駅や地下鉄の水没も予測されています。この暖かさ、やはり異常です。わたしが初めて由木で生活をし始めたとき、あまりの寒さで震えあがりました。朝、零下10度の日が2週間続きました。窓は美しい氷の紋様が描かれました。室内にあった水気のもの、タオル、雑巾、観葉植物がすべて凍り付いたのです。これが本来の由木です。
ただ世界の政治家たちの関心は気象にはないようです。ナオミ・クラインさんが<今そこにある明白な危機>と呼ぶ恐ろしい現実から逃れるために必要なのはまさに政治です。行き着くところはそうした政治家を国会に送ることと言えます。賛美歌21-424は「美しい大地はわたしたちの神が与えられた恵み、尊い贈り物。約束の大地はわかちあいの大地。」とあります。いま大切な時を迎えています。明日の世界が美しいままで、次の世代に受け渡せますように。
(2015年12月13日 週報より)