香水萱?

<主日聖書日課・家庭礼拝暦-日毎の糧>なる小冊子は、教会からささやかですが、皆様に利用していただくためにプレゼントさせていただいています(主日の部分が説教の箇所としてとられてもいます)。毎日、旧約聖書と新約聖書の部分が示されており、その読む分量はごくわずかです。ただ読むだけなら数分もあれば読了できるほどの量です。これを毎日読むと、4年で聖書全巻が通読できるのです。だからこそ、そこには味わいながら読むという余地が生まれます。

わたくしは説教の黙想もありますし、集会の準備も当然ありますが、今年は、この日毎の糧を使って、<日々の黙想>を試みようと思っています。それもつね日頃使っている新共同訳や口語訳でなく<THE RIVESED ENGLISH BIBLE>を使おうと心に決めたのです。ひとつの理由は日ごろ使い慣れている聖書は<読み飛ばす>傾向があるからです。聖書をじっくりと味わいたい。そして祈りを深めたい。そのためにその日の箇所を音読することにしました。声を出して読んでみると、不思議に気分が乗ってきます。聖書が今のように大量に印刷されて、出回るようになったのは16世紀のグーテンベルクの印刷機の発明以後のことです。教会共同体が形を成したころ、礼拝で福音書や使徒の手紙が、朗唱され、朗読されたのです。だから聖書は本来、音読には適しています。

さて3日(金)のことです。そうしてイザヤ書を読んでいました。そこに奇妙な言葉が登場しました。You did not buy me aromatic cane with your money. はて、この<aromatic cane>なるものは何だろう。日本語の新共同訳イザヤ書43:24は「あなたは香水萱をわたしのために買おうと銀を量ることもせず…」とあります。aromatic cane は日本語では<香水萱>なのです。しかしこれが何のことか私にはちんぷんかんぷんです。そこで日本語大辞典(講談社)を開くと『イネ科植物のうち香料に利用されるものの総称。芳香のある精油が茎葉の水蒸気蒸留で得られる。レモングラス・シトロネラグラスなど。』と説明されています。要するに<香水萱>はレモングラスのエッセンシャルオイルだと判明したのです。それもイザヤ書によれば対価として、当時、銀を量らねばならないほど、高価なものだったと想像できます。今ではレモングラスといえばハーブティーで気軽に飲みます。しかしイザヤの時代にレモングラスから、エッセンシャルオイルを絞り出すなど、どれほど大変な手間と工夫が必要だったでしょう。その高価さの高さほど、イスラエルの罪は深かったと神は責めるのです。

聖書を読みつつ一つの疑問が、別の連想につながり、それが何らかの聖書のメッセージにつながります。あくまで日毎の糧の一日分はごくわずかですが、そこから汲みとれる楽しみは小さくはありません。社会が激動する時代であればあるほど、心静めて、神を思い、試練にある友のために祈ることはいよいよ大切です。

(2014年01月05日 週報より)

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