福島を訪問して
礼拝後にケリーさんの運転で福島に向かいました。宿泊先の小高(福島第一原発から近い)の双葉屋旅館に到着。早速すぐ近くの日本基督教団小高教会で開催中の戦時下のウクライナの子どもたちの絵画展を見ることが出来ました。子どもたちすごく絵が上手くてびっくりしました。この双葉屋旅館は原発関連の方々が宿泊する宿で様々なジャンルの方々との出会いの場でもあります。名物女将の小林友子さんには小高のバラ園で剪定した薔薇をシリカゲルドライした物を何度もバザーのために頂いています。
その宿で、翌日の11日に小高教会で開かれる教区主催の追悼記念礼拝で特別賛美をされるシンガーソングライターで歌手の沢知恵さんと出会いました。彼女のお父さんは牧師で、著作をたくさん残され、祖父は韓国では有名な詩人金素雲です。
大昔、セミナーハウスで開かれた日曜訴訟の集会で会った時、彼女は小学生でした。その後、日本基督教団永山教会で開かれた彼女のコンサートに行ったことがあります。現在彼女は岡山に住み、お父様の意志を継いで瀬戸内海のハンセン病療養所大島青松園の基金を作りサポートしておられます。そして毎週、岡山から瀬戸内海の島、大島青松園に行き礼拝を守っているそうです。なんと第5週目の日曜日には小高教会の飯島牧師が礼拝を担当するため福島から出向くと聞いて驚きました。飯島牧師は第一第三日曜日は小高、第二第四は浪江、第五は四国で礼拝を守っておられます。
翌朝、毎回訪問している元仮設住宅自治会長、鈴木夫妻を訪ねました。以前、鈴木夫妻と元仮設住宅住の方々がマイクロバスをチャーターして八王子にきて下さり、由木教会にも寄って下さいました。連絡はしていませんでしたが来るだろうと予測して色々準備していて下さり暖かいおもてなしを頂き、秋に元仮設住宅のみなさんとバーベキューをしようと話し合いました。由木教会の講壇の花台のレース編みは典子さんが編んだものです。
次に小高に昨年出来た「俺たちの伝承館」を訪ねました。館長の中筋さんは八王子にお住まいですが、ほとんど福島で活動されている写真家で、チェルノブイリ原発事故の写真集を出しています。伝承館は第一原発事故に心を痛めた全国のアーティストがそれぞれの素材で表現しています。お腹を空かして柱をかじりながら餓死した牛の和紙の作品、天井いっぱいに広がる天井画、一本の木から作られた天井に向かって手を伸ばしている大きな彫刻、等々。全国からたくさんの来館者が連日来ています。
11日1時半から行われた宝鏡寺での式典には全国各地から200名近い方々が集いました。宝鏡寺の住職早川さんは一昨年亡くなられました。彼は原発事故が起こる前から東京電力に警鐘をならし、事故後も訴訟原告団長として戦ってこられた方でした。境内には原爆投下後の広島から持ち帰った残り火と長崎の被爆瓦から採った火を合わせ、脱原発や核兵器廃絶を願う「非核の火」が灯されています。
全国宗教者平和協議会が毎年各宗教の中から1つの宗教が代表して追悼の祈りを捧げます。今年は仏教が担当しました。一昨年はキリスト教が担当しました。
夜はケリーさんが震災を通して友達になった方の家に泊めて頂きました。私も数年前から仲間に入れていただき、先回お邪魔したとき「今度は是非牧師さんに来て欲しい」と言われました。今回、近所の方々も来られ、美味しい手料理を頂きながらキリスト教についての質問、震災時の苦労話、亡くなられた奥様の話や写真を見せて頂きました。その方はカトリックの幼稚園に通い、奥様はプロテスタントの教会の隣に住んでいたので中学生まで教会に出席していたそうです。困った時の支えは聖書の神様にお祈りし支えられてきたそうです。聖書を失くしてしまったそうで差し上げた聖書をとても喜んで下さいました。帰りには車にいっぱいのお野菜をくださいました。礼拝後お分けします。
最後に、毎回お訪ねしている元教師で99才の堀越さん、昨年12月にお訪ねしたときはお元気でしたが今年になってから点滴状態になったそうです。声をかけたら気が付いてわかって下さいました。お祈りをしてさしあげましたら少し顔が明るくなりました。9月の100才の誕生日が迎えられるよう祈っています。
副牧師 小枝黎子(2024年3月17日 週報の裏面より)