南相馬仮設住宅訪問記
12月28・29日福島県南相馬小池小草の仮設住宅で開かれた忘年会のお手伝いに夫と共に行ってきました。この仮設住宅は5回目の訪問で、今まではケリーさんの運転で行っておりましたが今回は車で既に岩手の方で活動していたケリーさんとこの仮設で合流しました。
ケリーさんと出会ったのは十数年前で、カトリック教会を探していたので高幡カトリック教会を紹介したのが始まりです。彼女は八王子の市街地にお住まいで2男3女のお母さんで普段は色々な所でで英語を教えておられます。その後由木教会で子育てサークルが始まり彼女も子育て真最中でしたのでこれに参加して下さいました。
そしてあの3・11の震災が起こり彼女はそのボランティアとしてカトリックの援助団体カリタスで活動していました。続いてご自分で足湯隊という傾聴を目的とするグループを作り週末は被災地で活動しています。
小池小草の仮設住宅は主に原発に近い南相馬市小高地区に住んでいた方々が集められ(ここに来るまで転々と避難所を移動させられた)まもなく5年になろうとしています。自治会長のSさんは人格者で皆から信頼され、家庭的な雰囲気に住人をまとめておられいつも私たちを暖かく歓迎して下さいます。
この小高の駅前通りを4年前視察した時は地震直後のままの状態で家はつぶれたまま、ガラスが散乱、商店の品物もそのまま放置、スーパーのショウケースの中身は腐ったままでした。昨年視察した時は壊れた家は撤去され平地になって見かけは綺麗になっていましたが人ひとり見かけませんでした。依然として線量が高く、昼間は入れても夜は留まることが許されません。私たちを案内して下さった地元の男性がご自分の田んぼを案内して下さいました。田んぼは汚染物質が入った黒い大袋が見渡す限りうず高く積まれていました。近くのご自分の蔵付きの家にも一生帰れないだろうとつぶやいていました。目に見えない原発の恐ろしさを肌で感じました。
忘年会には50人を超える人たちが集いました。今までで最高の人数です。何回も訪問していますので顔馴染みの方々が多くなり親しげに迎えて下さいます。この訪問のために準備したサラダやローストビーフ、教会の人たちから託されたケーキ、キャンディーリース、手編みの品々、メッセージ、献金などをお届けし、とても喜んで頂けました。ケリーさんは毎年ターキーに詰め物をし、何時間もかけて焼き上げます。みんなその大きさと豪華さ珍しさに圧倒されます。
ビンゴゲームはとても盛り上がり、こちらで用意した豪華?景品に大盛り上がり。大人があんなに喜ぶのにびっくり! ビンゴで当てた防寒服、手編みショールや帽子、キャンデー・リースを身に付け大はしゃぎ。皆が集まり、食事をし、交流する場がないのでこのような集いが嬉しいらしくとても感謝されました。差し入れを準備して下さった皆様に感謝致します。
今年の春に小高地区は避難解除になる様ですが駅前は閑散とし、リホームした家に戻れても高齢の親は福祉の恩恵を受けるにはいまの所に留まるほかなく、子ども夫婦は線量が依然高い所に子ども(孫)を住まわせるのは難しく一家バラバラになってしまうそうです。戻っても楽しみだった山菜取り、畑仕事もできなく何もすることがありません。。楽しみだった、山菜採り、畑で野菜作りもできない。なにやったらいいだべや?……(涙)(涙)(涙)
またこの5年間仮設住宅でかたまって身を寄せ合うように助け合い、協力し合ってきた仲間と別れてバラバラに生活するのは寂しく、孤立する心配もあります。皆、それぞれに複雑な悩みを抱えておられました。
来年もまたここに集まって忘年会をしようと約束してお別れしました。暖かな布団を用意し、美味しいみそ汁や煮物などをそれぞれの家から持ち寄ってもてなして下さった方々の暖かさが身に沁みました。
私たちは毎週教会に集い、共に祈り、賛美し交流する場があるというのは本当に素晴らしいことであると改めて痛感させられました。
小枝 黎子 (2016年1月10日 週報より)